アップデート

2016.08.09

本当にあった

・・・これは、本当にあったお話です。

私の知人から聞いたお話なんですけどね・・・。

 

・・・和歌山県和歌山市に、築港と呼ばれる海の玄関口にあたる場所がありまして。

この辺りでは、

昔から7月になると、港まつりっていう花火大会が開催されるんですね・・。

小さい町ですが、それでも祭りの夜には万を超す人が一気に訪れるわけです。

これは、その花火大会で体験した男性の話です。

 

そうですね、仮にこの方を「Aさん」としましょうか。

 

会社が花火大会会場が近いのもあって、Aさんは防犯を兼ねて毎年のように店番をするんです。

 

それでも、せっかくのお祭りですよ?

Aさんだって、花火を楽しみたいじゃないですか。

そう思って

バーベキューセットやら、クーラーボックスを持ち込んで

会社から花火を見るのを楽しもうって用意していたんですね・・・。

 

ありがたいことに、Aさんの周囲には一緒に過ごしてくれる人もいて

和気あいあいとして空気の中、祭りの夜は始まったのでした。

 

Aさんは早速、コンロに肉を置いて

ジュゥゥゥ・・・、ジュゥゥゥゥゥゥ。

ああ、炭火はさすがに熱いな・・・。

ただでさえ猛暑の上に、調理の熱気でAさんは

汗がファァーーーっと、吹き出してきたんですね。

暑いなぁー、暑いなぁー。

 

・・・その時!!

なんだか遠くの空が、ピカッ!っと急に光ったんですよっ!

Aさんは、ハッ!と驚いて光った方向を目を細めるようにして覗いてみたんですね・・。

そしたら今度は・・・、バァン!!っと大きな破裂音がして、Aさんは思わず「うわぁ!」と

声を上げて腰を抜かしてしまったんですね。

「コイツ・・・、この世のモノじゃない・・・」

とっさにAさんはそう判断し、恐怖のあまり頭を抱えてうずくまり

目を開けることができずに震えていました。

 

しばらくして、

「・・・Aさん、Aさん!」誰かに揺らされ、ハッと我に返って見上げると

そこには・・・

従業員のFさんが心配そうにこちらを見ていました・・。

Aさんはこちらを見つめるFさんを「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と、思いながらも「はい?」と返事しました

「どうしたんですか?花火でびっくりして」そう説明するFさんに「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」

と、感じながらも、Aさんは気を取り直して肉を焼こうとしました。

「大丈夫?」とFさんが心配するのを「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と思いながら、

焼けた肉をFさんに「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と考えながら渡しました。

 

しばらく肉を焼き続けていました・・。

今晩はフンパツして、良質の肉を用意したので、Aさんも肉を食べれるのを楽しみにしていました。

ふと気が付くと、そこにあった肉が無い・・。

あれぇ?おかしいなぁ・・・、おかしいなぁ・・・?

隣ではFさんが口をモゴモゴさせながら「美味しいなぁ・・・、美味しいなぁ・・・」

と繰り返しています。それを見たAさんは「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と何かに亡念しながらも

自分が食べたいので次々と焼いていきます。

 

それでも・・・、

肉は・・・、

次々と消えていきます・・・。

食べる前に・・・。

 

Fさんは、ひたすら「美味しいなぁ・・・、美味しいなぁ・・・」と念仏のように繰り返し

せっせと焼くAさんに「Aさんも食べればいいのに?あ、肉がなくなっていくのか?ったく、誰だよバカスカ食べてくヤツは!?」

 

それを聞いたAさんは

「それはお前だぁぁぁぁ!!!」と、燃え盛るコンロの前で花火の大音量に向かって叫びました。

 

そうは思っても、Aさんは引くに引けない状況にもありまして

もう、食べれるまで焼くしかない。そう決めたAさんは、花火が終わるまで焼き続けました。

終盤にさしかかり、Fさんが、「ゲフゥ・・」と息を吐き、倒れこむように動かなくなりました・・・。

これでようやく、いい頃合いに焼けた肉がAさんの手元に残りました。

Aさんが、ゆぅぅぅっくりとお肉を口に入れ、

2回、3回と租借をすると・・・。

スッ・・・と、溶けるように消えていったのでした。

 

夏の本当にあった話でした。

 

おかしいなぁ・・・、おかしいなぁ・・・。

夏だからって、稲川淳二風にするのは文章じゃ無理があるよ・・、解りづらいよ・・。

 

では、また。

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